メニュー

ロタウイルスと脱水への対応

私が医者を始めた30年以上前には重症になる赤ちゃんが結構見られました。前日の夕方に下痢・嘔吐・熱が少しずつあって「機嫌はイマイチだけど元気ですね。」とお話していたおちびさん。夜中からそれぞれ数回以上でしかも多めの量の下痢・嘔吐、39度以上の熱などが続き、翌朝には目の回りがくぼんで意識もない重症の状態で来院されたりしました。昔は白色便性下痢症などと言われていたように、便が白くなってくることが多いのですが、黄色いこともあります。下痢の最初から色が白い時は、ロタウイルスよりミルクなどの不消化物の可能性の方が高いと思います。ひどい下痢が続いて、黄色などからだんだん白っぽくなるのはとても怪しい状態です。だけど、いちばん大事なのは「便が白いか白くないか」ではなく、「ロタウイルスなのか、違うのか」でもありません。ロタ以外のウイルスだって重症になることはあるのです。なにより大事なのは脱水=水分ロスになる要素が強烈なことです。脱水状態に近づけば体はかしこく尿を減らすので、水分は主に尿以外から出ていきます。①上から出る嘔吐、②下から出る下痢、③体の表面から出る汗や見えない蒸気(39度以上の高熱で特に多い)、の3つの方向にロスしていきます。体から3方向にたくさんの水分が飛び出していけば脱水になる、少なければどんなに下痢が真っ白でも、ロタウイルスでも脱水にはならないわけです。言われてみれば当たり前のことですね。昔多かった重症の赤ちゃんたちは、下痢・嘔吐の回数も量もとても多くて熱も高かったので、水分が3方向にザーザーと出てしまって、重い脱水になっていたのです。今は脱水の知識も広まりましたし、スポーツドリンクや、もっとよいOS-1や赤ちゃん用の補水液などがありますので、意識が無くなるほど重症化することはかなり少なくなりました。それでもたまに、私たちがハラっとするようなお子さんを見ることもあります。

また、別の問題としてロタウイルスでけいれんしてしまうおちびさんがいます。しかもそのけいれんは、状態が落ち着いて救急外来からおうちに帰ってくるとまた再発したりするたちの悪いけいれんだったりします。けいれんについては、下痢がそんなにひどくなくても起こすことがあります。いやなウイルスですね。

今は赤ちゃん用にワクチンができていますので、重症な赤ちゃんはさらに減ってゆくことが期待されています。ワクチンの副作用では、たまに腸がつまってしまう腸重積という病気がおこることが知られており、今後のワクチンのバージョンアップで無くなってほしいところです。ワクチンの効果と副作用をあわせて考えると、やっぱりワクチンを受けた方が赤ちゃんのリスクは小さいと考えられています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME